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尾崎行雄について

『人間のつとめ』

たとえ自分の利益になっても、害になっても、とにかく正邪を判別する良心があれば、自分の見聞した事実を公にして、世の誤りを正すことが人間のつとめである。

・・・利害損得のみに執着する日本人の封建思想を叩き直して、正邪善悪に基づいて行動する人間をつくることが、民主教育の目的であり、教育者の使命である。

世界中から尊敬せられ、愛せられる日本人をつくるためには、まず教育家の魂から、つくりなおしてかからねばならぬとすれば、前途道遠しの嘆なきを得ない。しかし、日本人の心に根強くこびりついている利害損得本意の封建思想を叩き出して、正邪善悪本意の真の民主主義精神をしっかり教え込むというような大事業は、たとえどんな立派な教育家があったところで、とても少数の専門教育家が学校で生徒を教えるくらいで成し遂げられるような、なまやさしい仕事ではない。・・・日本人全体が教師となり、同時に生徒になった気で、たがいに教え、教えられつつして、向上していくより外はない。
 

尾崎行雄『民主政治読本』(昭和22年)、『尾崎咢堂全集第十巻』115頁より。