民政維新に最も必要なものは批判的精神である。・・・行動する前にまず批判せよ。それが誰からの命令・指令であろうとも、一度自分の良心のふるいにかけて、しかるのちに行動する。そして、その行動に対しては、どこまでも責任をとる覚悟を持った人々によってのみ、民政維新の大事業は成し遂げられるのである。
・・・立憲制度は輸入したが、これを運用する精神は輸入しなかった。近代文明の皮相は学んだが、これを生むにいたった根本の精神を学ばなかった。
・・・民政維新は、・・・進んで精神革命にまで徹底しなければならぬ。民主憲法はできたが、民主思想は消化しきれなかったのでは、すぐに行き詰まってしまう。百年はおろか千年万年経っても、制度と思想のくい違いから、国家の進運を行き詰まらせることのないように、必死の努力をかたむけねばならぬ。
尾崎行雄『民主政治読本』(昭和22年)、『尾崎咢堂全集第十巻』54頁より。




