戦争放棄を新憲法の花とすれば、国民の権利義務を規定した第3章は新憲法の実である。その第11条以下第40条に及ぶ自由と権利の保障は、いかなる国家の人権宣言よりも、行き届いた徹底したものだといえるであろう。民主主義の基盤である自由平等、生活権の保障は、あげて第3章につくされている。すなわち第3章において、「全ての国民は基本的人権を享有する。この基本的人権は侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる」(第11条)ことが約束せられた。また「全ての国民は男女・貧富・貴賊・人種・宗教の別なく、全ての法の下に平等であって、政治的・経済的・社会的関係において差別待遇をせられない」(第14条)ことが約束せられた、また「全て国民は個人として尊重せられる。生命・自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」(第13条)ことが約束せられた。思想及び良心の自由(第19条)、信教の自由(第20条)、集会・結社及び言論出版その他一切の表現の自由(第21条)、居住・移転・職業選択の自由及び国籍離脱の自由(第22条)、・・・その他、・・・抑留・拘禁・捜査・押収・拷問・虐待・自白の強要等、人の生命身体に関する不当の侵害を防止する約束がいたせりつくせりに書かれている。
尾崎行雄『民主政治読本』(昭和22年)、『尾崎咢堂全集第十巻』39頁より。




