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尾崎行雄について

『新憲法と国民の義務』

権利と義務は楯の両面である。権利がこんなに大きくなったのだから、義務もふえたかというと、これは案外で国民の権利義務を規定した第3章の中で義務の規定は第12条・・・第26条第2項・・・第27条・・・第30条・・・という4箇条だけである。

しかし、義務条項が少ないからといって油断してはいけない。この憲法が保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならないという、この義務を全うすることは、決してなまやさしいことではない。また国民はこの権利自由を濫用してはならないという義務も、よほどの反省心と自制心がなければ果たすことはできない。現に一部の人々の間に、権利自由をはき違えた濫用が既に始まっているように見える節がある。常に公共の福祉のためにこれを利用する責任もまたきわめて重要なつとめで、日本国民にこの責任が負えるか負えないかで、日本民主化の成敗は決すとさえ思われる。
 

尾崎行雄『民主政治読本』(昭和22年)、『尾崎咢堂全集第十巻』40頁より。