要するに国家というものを中心にして、個々に迷信的歴史と事実に背いた理屈を持って、国民性とか、国家主義、祖国、民族というようなものに重きを置いて、国際的発展を妨害している以上は、やはり第三次の世界戦争は起こるのである。・・・世界はいよいよ小さくなり、人の力はいよいよ大きくなる。大きな力を小さな世界で衝突のために用いるということは自滅するより外に到着点がないのである。そのくらいのことは子供が考えても分かるのだから是非その方針で、国家主義とか民族主義などという小さな考え方をやめて、世界を一家となすような教育を施さなければならぬ。・・・空においては空の境はない。海においても実際は境はない。海の底まで潜航艇で走り回っておるというようなことで、将来はもっとだんだん境が減る。天の境、地の境、海の境はみな無くなるのである。・・・心を広くして、人種や国の境を説かないように特別に力を用いらなければならぬはずである。
尾崎行雄『わが遺言』(昭和26年)、『尾崎咢堂全集第十巻』304頁より。




