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尾崎行雄について

『誰のための選挙か』

大切な選挙権をどう使えばいいか、投票は誰のためにするのであるか、自分の不利益になるような法律をつくらせない代表者を選ぶために使わねばならぬ。自分自身のためにする投票でなければならぬことは、もう言わずして明らかなはずだが、我が国の有権者のうちには、今でも、選挙は候補者のためにするものと心得ている人がかなりたくさんあるようだ。

候補者のための選挙だと思えばこそ、「頼まれたから」「金をくれたから」「義理があるから」いれてやるという気にもなる。もし選挙は自分の生命財産その他の権利自由を守るための番人を選ぶことだと悟れば、どんな馬鹿でも「頼まれたから」いれるのではない、こちらから頼んで出てもらうのだ。候補者から金をもらうどころか、選挙の費用は、頼む側の有権者の方で持ち寄るぐらいにせねば、信用のおける番人は出てくれないくらいのことは気がつきそうなものである。


尾崎行雄『民主政治読本』(昭和22年)、『尾崎咢堂全集第十巻』66頁より